表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋-狩るモノ-  作者: 幹藤 あさ
4/542

1話

コーヒーを飲みながら、颯介と山上は会話もなくそれぞれの机でパソコンとにらめっこをしている。真面目に仕事をしているのは颯介だけで、山上はパチンコの攻略法みたいな物を熱心に読んでいた。


きいっと椅子を軋ませて、颯介はこきこきと首を回した。ずっと同じ体勢で事務処理をしていたせいか、首も肩も凝ってきていた。ついでのように、首を巡らせて壁にかけてある時計を見た。もうすぐ昼時だった。そして、向かい側の空席に視線を向けた。本来ならば、その席には髪の長い女が座っているはずだが、今日はまだやってきていない。


「公休にしといてやれ。で、メールだけ送って、あとはほっといてやれ。むつも疲れてんだろ」


颯介の視線に気付いたのか、パソコンの画面からちらっと視線を外した山上はそう言った。細く鋭い目付きだが、その目尻には微かなシワが寄っていた。颯介からは見えないが、おそらくは笑みを浮かべているのだろう。


「分かりました」


言われた颯介は、事務処理をしていた画面からメール画面に切り替えると、手短な文章を打つとメールを送った。


「…にしても、珍しいですね。むっちゃんが連絡して来ないなんて」


「うーん。そうだな…けど、前にもあったろ?忙しくて休み返上が続いて、ぽっと空いた日に起きる気力もなくて、連絡もしてこないで1日寝てたって日が」


「あ、そういえばありましたね」


「たまーには、そんな日もあるだろ。予定がないって分かって気が抜けたんだろうよ。休ませといてやればいい」


「社長は、むっちゃんの事になると優しいですよね」


くすくすと颯介が笑うと、山上はぷいっと顔を背けた。そして、机に置いてあったタバコをくわえて、その場ですぱーっと吸い始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ