7話
怒られた事と心配をかけた事知って悪く思っているのか、むつはしょんぼりとうなだれている。冬四郎の目があるから、安易に甘やかしてはと思っているのか誰もむつに近寄ろうとはしない。だが、西原はひょいっとむつの顔を覗きこんだ。
「何だ?泣いてるのか?よしよし」
西原はむつの頭を撫でながら、慰めようとしている。むつは、ぷいっと顔を反らしたが西原はめげない。
「だいぶ、身体も冷えたな。あ、そーだ。一緒に風呂入るか?熱あるけど、しっかり暖まって湯冷めしないようにしといたら大丈夫だろ」
「にしはらーっ‼」
どんっと西原を突き飛ばして、こさめがむつの両手を握った。
「むつ、一緒にお風呂先に入ろっか。髪の毛に葉っぱついてるのも取ってあげるね」
「お、こさめさんも一緒に入ってくれるんすか?うっわー両手に華とかハーレム気分になれそうっす」
にやにやと笑う西原の足をこさめが、ずんっと踏みつけると、ぐりぐりと押し付けていた。流石にそれは痛いのか、西原は声もなく悶えている。
「さ、行こっか。お湯はねもう溜めてあるの。むつが戻ったら、お湯につけて暖めるように、お兄さんにも言われてたから」
「こさめ、そんな…むつさんを湯煎するみたいな言い方止めなさい。それに、西原君の足踏むのも止めなさい」