7話
がさがさと枯れ葉を踏みながら、家に戻っていくと、あぁ‼という声が聞こえた。
「…一緒に謝りましょうね。お兄さんきっとすごく怒りますから」
「…はい」
京井がこそっと言うと、むつは素直に頷いた。複数の声とともに、かざかざと音がだんだんと近付いてきている。むつは京井にしがみついたままだった。
窓から出たむつと京井は玄関から入り、リビングで正座させられる事になった。目の前に冬四郎と山上、片車輪と体格もよく面構えも怖めの3人が腕を組み、仁王立ちしている。
「むつ、どうして黙って外に出た?」
冬四郎が眉間にくっきりとシワを寄せて、むつを見下ろしている。むつは怖さのあまりか、ちらっとも冬四郎を見ようとはしない。
「むつ、答えなさい」
一段と低くなった声に、むつはびくんっも肩を揺らした。うつ向いたまま京井の方を見るも、京井は何も言えないようだった。
何も言わないむつをじっと見下ろしたまま、冬四郎は溜め息をついた。だが、しゃがんで膝をつくとむつの肩に毛布をかけた。
「熱が上がったらどうするんだ?それに、黙って居なくなるから、みんな心配して探してくれたんだぞ?きちんと、謝ってお礼を言いなさい」
冬四郎に促されるようにして、むつはのろのろと立ち上がると、小さい声ではあったが、ごめんなさいとありがとうございますと言った。そのあとで、すぐに京井にもごめんなさいと言った。