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7話
京井はがさがさと枝をわけいって行くと、すぐ目の前に赤いチェック柄が見えてきた。
「むぅちゃん…」
「…あ、京井さん…?」
追い付いた京井が声をかけながら、近寄っていくとむつは驚いたような顔をしていた。
「何をしてるんですか。裸足で、薄着のうえ、熱だって下がってないでしょ?」
「…ごめんなさい」
しゅんとしたように、むつはうつ向いた。だが、何か気にしている物があるのか、ちらちらと視線を向けている先があった。京井はむつの肩に手を回して引き寄せながら、むつの視線の先に目を向けていた。
「いえ、怒ってるわけではありませんよ。何か…ありましたか?」
「…誰かに呼ばれてる気が」
「呼ばれてる?」
「はい…」
京井を見上げて、声は小さくもしっかりと返事をした。真剣な目が、嘘じゃないと言っているようだった。だが、耳のいい京井にも声も何も聞こえてこない。むつにだけ、聞こえた、もしくは感じられた物があったのだろう。