7話
それぞれが緊張感もなく、ゆっくりとした時間を久しぶりに過ごしていた。冬四郎も、ぐっすりと眠りについていた。京井も眠ってはいたが、かたんっと微かな音に目を覚ました。どこからの音なのか、すぐには分からなかった。だが、続いて外からがさがさっと物音がすると、京井はベッドから下りてカーテンを開けて隙間から外を覗いた。
「…ったく、大人しくないじゃないか」
苦笑いのようにも、微笑みにも思えるような笑みを口元に浮かべると京井は窓を開けた。小窓から身体を出すには、かなり苦労をしたが上半身が出てしまうと、窓枠を掴んだ手を放して頭から真っ逆さまに、落ちるようにして出た。だが、そこは人とは違い運動神経も並みではない。くるっと身体を丸めて、足から地面に下り立った。靴を履いていないからか、枯れ枝なんかが足裏に痛かった。
京井は立ち止まったまま、がさがさっと音がする方に耳を向けていた。音は途切れる事なく、どこか目指す場所が向かっているようにさえ思えるように聞こえてきている。京井は少し首を傾げたが、あとを追って行って。
枯れ枝が邪魔ではあったが、音が聞こえている以上、目標を見失う事はなかった。だが、あまり離れるのはよくないと思い急いだ。すると、ぴたっと音が聞こえなくなった。