7話
藤原が居なくなり、冬四郎はそっと請求書を見ようとしていたが、横から興味を持っているのか京井が覗きこもうとしたり、ドアが開いてむつが顔を見せたりで結局は見れなかった。それに、何となく見るのも怖かった。
「あの…」
「着替え終わったか?」
こくっと頷いて、むつはドアをからからと開けて冬四郎と京井を中に入れた。
「何か、男の子みたいだな」
「えぇ…部屋着は女の子らしかったんですが」
冬四郎と京井に上から下まで、まじまじと見られたむつは居心地悪そうにしている。黒のインナーの上からフードのついた赤いチェック柄のシャツ、ジーパンはわざとなのかだぼっとしており、その裾を折って踝が見えるようにしてあった。
「足、寒くないか?」
「下ろすと…引きずっちゃうので」
「成る程な。だぼってしてるから踝見えた方が、めりはりついて良いかもな。靴はハイカットか?」
床に置いてある、カーキ色の靴にちらっと視線を向けて、冬四郎はむつに視線を戻した。
「もこもこしてるのも可愛いけど、ボーイッシュの方が、むつっぽいかもな」
「ギャップ萌えってやつですね」
「…そんな言葉、どこで覚えてくるんですか?」
「テレビとか見て、色々な情報を入れるのも仕事では大切な事ですから。ね、むぅちゃん」
むつはよく分からないといった様子で、首を傾げるだけだった。




