1話
京井は片車輪の言っている事が分からずに、首を傾げていた。だが、そこに冬四郎と山上がやってきた。
「そろそろ、片車輪の話を聞こうか」
山上に言われ、京井と片車輪はリビングに向かった。そこには西原と篠田がすでに待っていた。
「で、お前。何しに来た?むつと遊びたくて来たわけじゃねぇよな?」
「まぁな…」
片車輪は遊びに来たわけではないと認めたものの、なかなか話そうとはしなかった。
「襲われたんじゃないのか?昨日、むつのパソコン見た時にメールもチェックしたけど…妖が襲われるってのが、最近多いみたいだな」
冬四郎がそう言うと、片車輪は頷いた。京井は同じ妖だというのに初めて知ったようで、驚いたような顔をしている。篠田もこさめが居るからか、それを聞きすっと目を細めた。
「せやねん。あのおねぇちゃんは無闇に俺らに危害を加えたりはせぇへんけどな。そうじゃないのもおんねん…で俺もついこの前、襲われたんや。一緒におった釣瓶火は死んでもうた。俺もあと少し傷が深けりゃここには居れんかったな」
「相手は人間ですか?」
「たぶんな…」
片車輪の話を聞き、京井は考え込むようにして、腕を組んでいる。
「その相談で、ねぇちゃんと会うつもりでおったんやけど…もしかしたら…」
言いかけて黙った片車輪をちらっと京井が見た。そして、微かに頷いた。
「妖と関わりが深いむぅちゃんをさらって、居場所を吐かせようとしている…かもしれませんね」
引き継ぐように京井が言った。




