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6話
「いえ、お気になさらないでください。むつさんには学生の頃からか面倒みて貰ってますからね。その元彼さんの頼みであれば」
「ありがとう…けど、藤原君。元彼、元彼って何度も言わなくてもいいだろ?ヘコむ」
「はいはい、じゃあ…他に無ければ僕は検査の準備とかありますから失礼します。むつさんが起きたらナースコール押してください」
「分かりました。何から何まで、申し訳ありませんが…よろしくお願いします」
藤原が立ち上がると冬四郎も立ち上がり、深々と頭を下げた。藤原は居心地悪そうにしながら、さっさと談話室から出ていった。
「何で、彼はあんなにみやに恐縮してるつーか、なんつーか…」
「それは、むつのお兄さんだからですよ。藤原は、俺よりも軽いですよ、口が」
「は?」
「すーぐセクハラ発言する。けど、草食系とかで手は出せないタイプなんです」
「西原君はすぐに手も出るから…まだあの先生の方が安全そうだね」
「篠田さんまで、そんな事…俺は安全な男です‼ね、宮前さん‼」
話をふられた冬四郎は、眉間にシワを寄せて首を傾げただけで何も言わなかった。