6話
「あ…いや、そんな怖い顔しないでくださいよ。刑事さんに囲まれてるうえに、怖い顔されると…話にくいじゃないですか」
困り顔の藤原ではあったが、それほど困ってる様子はなく、近くの椅子を引き寄せて座ると、長い足を組んだ。むつの1つ年下とは思えないほどに、落ち着いている。
「何か、ありましたか?」
「えぇ…あ、いや?うーん…まぁそうですね。とりあえず、さっきむつさんには会ってきました。それと、最初に搬送された病院からの検査の報告も届きましたので、一応これだけ先にお話しておこうかと」
藤原はそう言うと、了承を得るかのように4人の顔を見回してから、少し首を傾げた。
「えっと…お兄さん、元彼、勤務先社長…で?そちらの方は?というより、お身内の方はお兄さんのみですし、あとの方は部外者…捜査関係者、ですか?」
ここで本当に話しても良いのだろうかと藤原は思ったようで、冬四郎の方に顔を向けた。
「捜査関係者の方々ですので、大丈夫です。後で、私から説明しなくて済みますので、よろしくお願いします」
冬四郎が頭を下げると、藤原はあとふたとしてすぐに頭を上げてくださいと言った。なぜ、慌てられたのか分からない冬四郎だったが、そこを追求するよりも藤原からの話がすぐに聞きたかった。