6話
「えぇ。あるでしょうね。現に…調べ始めてからは、こさめも襲われたりもしましたから」
何て事もなく篠田は言ってのけたが、冬四郎、西原、山上は目を大きく見開いて驚くばかりだった。
「…も、って事は篠田さんも?」
「えぇ、ホームから突き飛ばされたり、つけられたりしてたかな?…調べるの辞めたら無くなったから、脅しかなと」
「そうか、悪かったな。篠田はともかく、こさめさんまで巻き込んで」
「いえ、大丈夫です。こさめにはあらかじめ、話しておいたので彼女も怪我してませんから」
怖がりもせず、にこやかに話す篠田は、意外にも肝が据わっているようだった。こさめにしても篠田にしても、危険な目に合う可能性が高いとしても、こうしてむつの為にわざわざ、やってくるあたり、むつの事を大切に思っているのだろう。
「1つ分かったのは…警察内部に居ますね。彼ら。そうじゃなければ、私が資料庫漁ったりしてる事が分かるはずないと思います…今回はパソコンのデータベース使ってませんから。ハッキングなんかじゃないと思いますし」
「…大掛かりな組織かもしれないな。それにしても、何でデータベース使わなかったんだ?使った方が早いだろ?」
「人の書いた文字の方が、その時の事が分かりやすいかと思ったので。それに、古い物ほどデータ化されてない事もありますし」
「成る程な。アナログの方が強い時もあるからな」
山上はうんうんと頷いていた。