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6話
こさめは慣れた手付きで、むつの長い髪の毛を先ずは毛先から優しくほどいて、全体に櫛が通るようにした。
「どーしよっかな?三つ編み?ツインテール?ツイン?ツインかぁ…でもお部屋で過ごすなら、三つ編みかなぁ?」
悩んだあげく、緩めの三つ編みにするとリボンのついているヘアゴムで毛先を縛った。
「何か、あれよね?女の子って感じが好きなのかしらね?これ、買ってきて人ってば」
呟くようにこさめが言うと、むつは何とも言えずに首を傾げるだけだった。
「さ、出来たよ」
「ありがとうございます」
むつは、もこもこしたルームウェアが気に入ったのか、何度も撫でていた。毛先が柔らかく、ふわふわとしていて気持ちが良いようだ。
「なら、お兄さんたち呼ぶね」
「あ、待って…」
「ん?」
「顔…洗いたいから」
「おっけ。タオル、タオル」
歌うように節をつけながら、こさめはタオルを探すと、むつに投げて渡した。受け取ったむつは、タオルを持って備え付けの洗面所に行くと、じゃぶじゃぶと水で顔を洗った。