6話
「お風呂も入りたいわよねぇ。髪の毛も絡まっちゃってるし」
「熱が下がるまではダメですよ」
西原はそう言い、勝手にむつの下着を決めると残りの物は畳んで、紙袋にしまっていく。その横で、山上が散らかった服の中から櫛とヘアゴムを探し出すと、むつの膝の上に置いた。
「そう…なら、仕方ないわね。着替えて、髪の毛とかすだけにしとこっか。結局、西原が選んじゃったけど…いい?」
こさめが確認すると、むつは頷いた。
「うん、まぁどれも可愛いもんね。じゃあ、おっさんたち出てって」
しっしとこさめが手を振ると、ぞろぞろと男たちは部屋から出ていった。男たちが出ていくと、こさめはふうっと息をついた。
「ふーん…むつなのにね。知らない人みたいで不思議だけど、何か新鮮ね。仲良くしてね」
こさめはむつの手を握ると、ぶんぶんと上下に振った。困ったような顔をしていたむつだったが、こさめの勢いに押されるように笑みを見せた。
「さ、着替えよっか…って、むつどーしたのその手首?てか、何?鈴?」
「ん…?分からないけど…」
「ふーん?ま、いっか。鈴可愛いし」
むつは今になって気付いたのか、小指についている鈴を目の前まで持ち上げて見た。小指を揺らして、ちりん鳴らしてむつは微笑んでいた。