6話
「何て言うか…おっさんたちには、むっちゃんの純粋さは毒だよね」
「ですよね。何か、むつさんが汚れそうなんで近付けたくないですね」
颯介と祐斗は、うんうんと頷いている。むつは声がする方に顔を向けては、冬四郎の方を向いていた。誰?と聞いているのだと分かると、冬四郎はその場に居る面々の紹介をする事にした。
「…むつ、向こうの2人は一緒に働いてる湯野さんと谷代君。それから、俺の先輩の篠田さんとその彼女のこさめさんな。で、そこのごついのが片車輪」
冬四郎は手を向けながら、順々に紹介をしていく。そのたびに、むつは会釈をしたりしている。
「ま、それは良いわよ。むつ、どの服にする?病院のじゃ寒いわよね。んー?下着も…買ったの?誰が?」
こさめは下着を手に取り、鼻の頭にシワを寄せて嫌そうな顔をしている。買ってきた本人、片車輪は何も言わずに知らん顔を決め込んでいた。
「むつ、どれにする?」
「え…えっと…」
下着を投げるように渡されたむつは、どれにしようかと選んでいる。選んでいるようだったが、大して興味もないようにも見えた。どれも、好みの物ではなかったのかもしれない。片車輪は少し、がっかりしたような顔をしていた。