6話
こさめはむつの返事など待たずに、紙袋を掴むと引っくり返して中身をベッドの上にぶちまけていく。あわあわと篠田が止めようとしていたが、笑いながら山上が引き止めた。
「女の子同士だから、大丈夫だ。心配しすぎ、気を遣いすぎるのもよくないからな」
「そう、でしょうか…むつさん確実にこさめに押されて引いてますよ?」
まだ寝惚け気味のむつは、ベッドの上に出されたもこもこした服をあれこれ見せられ、京井に助けを求めるような目を向けていた。だが京井は、にこにこと見守っているだけだった。
「みたいだな…こさめちゃんは最近、押しの強いおばちゃんみたくなってきたな」
山上は、からからと笑うと西原の肩をとんっと押した。行ってやれという事のようだった。西原がベッドの側に行くと、むつはほっとしたような表情を見せていた。
「むつ、気分はどうだ?」
「あ…はい…大丈夫そう、です」
むつは布団を引き上げて、恥ずかしがるような仕草をして見せた。その反応に、西原がおっという顔をしていた。そして、口元に手を当てて隠しきれない笑みを浮かべて振り向いていた。
「…やぁばいっす、かっわいーかも‼」
へらへらと西原が笑うと隣にいた、こさめがばしんっと強く西原の頭を叩いた。その様子に、むつが驚いたように目を見開いて、口元に手を当てていた。