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6話
「…ふーん?おっけぇ分かった」
男たちが何も言えずに立ち尽くしてる中、こさめは本当に理解してるのかひらひらと手を振るとすぐにむつの所に戻っていった。
「本当に分かったのか…?」
篠田が心配そうにしていたが、こさめは大丈夫だと頷いてみせた。それが篠田には余計に不安に思えたようだった。
「一時的にって事かな?」
「熱が下がってから、検査になるかと思います。その前に、戻るかもしれないですけど…そうならないかも、しれませんし」
冬四郎の返答に頷きながら、篠田は何やら考えているようだった。
「ねー」
「何?静かにしなさい」
考え事をしていた篠田は、子供を叱るように口に人差し指を当ててこさめに、静かにするように言っている。やりとりは、ただの親子のようにしか思えないが、こさめは篠田の飼い猫だったものが、妖猫又になったもので、今は彼女という事になっているが、実際の所がどうなのかは、本人たちにしか分からない。
「直弥もうるさい。むつ、起きたよ?むつ、おはー?着替える?しゃちょーが服買ってきたよ」