6話
「お前…お前が、むつの下着を選んだのか?」
西原は、ひくひくと笑いながら紙袋を受け取った。だが、流石に出して確認はせずに中身を覗くだけだった。
「…何て言うか、下着とか服とかって好みが出るんすかね?ふりふりしてますよ、ふりふりしてる…ふりふりだ…」
ふりふりと繰り返しながら、西原が言うと冬四郎は額に手を当てただけで、余計な事は何も言わずに紙袋を受け取り、片車輪に礼を言った。それらの紙袋をベッドの横のサイドテーブルに置いた。
「それで、むつか?」
山上が低い声で呟くと、冬四郎は頷いた。山上は、ほっとしたような顔をしてベッドに寄るとむつの顔を覗きこんだ。こさめに会釈をし、その隣に祐斗が居る事に気付くと、ばちんっとデコピンをした。
「お前、また授業サボりやがったな。みやにも怒られたんじゃなかったのかよ」
「じゃあ、むつさんが見付かったなんて教えないでくださいよ。来るに決まってるじゃないですか‼」
「ふざけんな、俺のせいみたいに言うな。だいたい、来るの早すぎるだろうが」
「まぁまぁ、社長…祐斗君も。とりあえず、むっちゃんの無事が確認できて良かったんですから」
祐斗と山上の言い合いに、めんどくさそうな顔をしながら、颯介に割り込んで宥めていた。