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6話
山上と片車輪、颯介がやってくると冬四郎は、がさっと紙袋をいくつも渡された。
「…何ですか、これ?」
「うちの、可愛いむつの為の服だ」
「えー?山上さんが選んで来ちゃたんすか?俺が行く予定だったんすけど」
西原はそう言いながら、冬四郎の横に立つと紙袋の中から服を取り出した。薄いピンク色のもこもことした、パーカータイプのルームウェアだった。
「うわ…可愛い…」
「ちょ、宮前さん見てくださいよ。フードに耳ついてますよ‼もしかして、尻尾もついてたりするんすかね…」
上はパーカータイプで下はショートパンツになっていた。流石に尻尾はついてないが、もこもことしていて可愛らしい。
「早く着せたいっすね」
へらへらと笑う西原の頭を冬四郎が、ぱしんと叩いたが、西原は笑みを引っ込めたりはしない。
「下着もあんで?サイズ合うか分からへんけど」
片車輪が紙袋を差し出すと、冬四郎と西原は笑いながら顔を見合わせてしまった。ごつごつした身体に、強面の片車輪が女性物の下着を選んだのかと思うと、微妙な気分にしかならなかった。