1話
「みや、まだ現場は立ち入り禁止か?」
「昨日、鑑識が帰った時にテープ外してましたからもう入れると思います」
「なら、行くか。京井さんと西原には見て貰った方が良い気がする。京井さんは嗅覚が強いし、西原は何だかんだむつの部屋に泊まったりしてるだろ?無くなってる物に気付くかもしれない」
山上がそう言うと、嫌な顔をせずに冬四郎は頷いた。昨日、1度は部屋に入っている冬四郎だったが見逃している物があるかもしれないからだ。
「湯野ちゃん。祐斗に学校終わったら来るようにメール。それから、むつの受けてる仕事の方、祐斗とカバー出来るならやってくれるか?無理なら担当者が入院か何かって言っとけ。今、入ってる仕事以外は受けずに先伸ばしに何とか頼むな」
「分かりました。仕事の方は大丈夫ですから、むっちゃんの方はお願いしますよ」
颯介の意外にも険しい表情に、山上は真剣な顔で頷いた。颯介はいつの間にか西原になついている管狐をつまみ上げると、広い肩に乗せた。颯介に見送られて、6人はよろず屋の事務所から出ていった。
冬四郎の車に4人乗り、西原は運転してきたバイクの後ろに篠田を乗せた。どうやら、一緒に来たのも西原が篠田を駅まで迎えに行っていたからのようだった。




