6話
「宮前さん、何があったんですか?」
西原は京井に椅子をすすめ、自分も座るとすぐに何があったのかを聞いた。冬四郎は、ちらっとむつを見た。
「何が、って…」
「急にむつが暴れだしたわけじゃないですよね?何かあったから、あんな風に…」
「そうだな…俺もさ、うたた寝してて起きたらむつが足元に寄り掛かって寝てたんだよ」
冬四郎が話し出すと、西原と京井が顔を見合わせた。そして、揃って冬四郎の顔を見た。
「いや、俺も何でむつが床に座って俺の足に寄り掛かって寝てたのか分からないけどな。けど、気付いたらそうなってたんだよ。だから、そのまんまベッドに戻したんだけど、その時に目を覚まして水って言うから、渡そうとしたんだ。けど、受け取ろうともしないで布団に丸まったまま、何か言ったんだ」
「むつは何を言ってたんですか?」
「はっきり、聞き取れなかったけど…寒い、痛い、いやって…何回も何回もぶつぶつ呟くように言ってたな」
「寒い、痛い、いや、ですか…監禁されてる時にされた個との夢でも見たという事でしょうか」
京井が眉間にくっきりとシワを寄せて、険しい顔をして言うと、冬四郎はおそらく、と頷いた。