6話
しばらく待っていると、処置が終わったのか医者が出てきた。廊下で待っていた3人に気付くとやってきて、手短に説明をしてくれた。看護師の言ったように、少しの間は目を覚まさないだろうと、いう事と暴れたのは何かフラッシュバック的な事での錯乱じゃないかと言っていた。そして、目が覚めたからと言って行方不明の間に何があったのか、暴れた事については言わないようにと言われた。冬四郎は返事をし、深々と頭を下げて礼を言った。
ぞろぞろと看護師も出てきて、もう入って良いですよと言われ、入ろうとすると最後にもう1人、医者が出てきた。冬四郎と西原は、会釈のみだったが京井に何か気になる事でもあったのか、その医者の後ろ姿をじっと見ていた。だか、すぐにむつの病室に入った。
むつは眠っているだけのようだった。規則正しい呼吸音に、ゆっくりと上下する胸元。溢れた水やペットボトルは、片付けられており、部屋は元通りになっている。
冬四郎は、むつの顔をじっと見つめ安堵したように息をつくと、椅子にどかっと座って天井を仰いで溜め息をついた。ほんの30分程度の出来事だったにも関わらず、とても疲れた気がした。