1話
食事を終えて、颯介がコーヒーをいれてきてくれると、それを飲みながら山上が口を開いた。一昨日にむつが出社して来なかった事から、片車輪が何故居るのか、そして、むつの部屋に行ってからの今に至るまでを説明をした。警官として働いていたからか、簡潔な説明でも分かりやすかった。呼び出されて合流した、西原、京井、篠田は真剣な表情で聞いていた。
「そんな事があったんですね…それで?部屋には、宮前君が入っているんだよね?何か変わった様子は?」
「室内は綺麗でしたよ。あの、むつが掛け布団をちゃんとならして、真っ直ぐにしてあった辺り…あいつらしくないですね。あとは風呂場ですね」
そう言うと、冬四郎はコーヒーをすすった。颯介が濃いめに入れてきてくれたのか、苦味が強い。
「風呂場に血痕がありました。それに、湯が溜まったまんまでした」
「血痕は怪しいとして、湯が残ってたのがおかしいのか?」
山上が聞くと、冬四郎と何故か西原も一緒になって頷いた。
「むつは水回りだけは、仕事前でも片付けるんですよ。それに、あいつ休みの前日しか湯にはつからないですね。掃除しないと気が済まないタイプなんで、次の日仕事ならシャワーだけですよ」
引き継ぐように西原が言うと、冬四郎がうんうんと頷いていた。




