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6話
西原に教えられた病院に行くと、すでに警察も到着していた。その中には、西原と晃の姿も見えた。冬四郎と京井に気付いた西原が駆け寄ってきた。少しも嬉しそうな顔はしておらず、むしろ険しい表情を浮かべていた。
「お疲れ様です…本人に会いますか?」
「…会えるのか?」
「まぁ家族ですからね。顔の確認はして頂かないと…警視正もいらしてますが」
西原に案内され冬四郎と京井は、静かな病院の中を歩いていく。3人のあとを少し離れて、晃がついてきている。むつが見付かったと聞けば、真っ先に病室に行きそうなものの、そうしなかったのは警察署襲撃の中に、むつの姿を見たからなのだろうか。
「こちらです」
ドアの前には警護の警官が立っていた。西原が警察手帳を見せて、手短に家族の面会だと伝えた。すぐにドアが開けられ、4人は中に入った。最後に入った西原がドアを閉めて、カーテンで仕切られているベッドに近付いた。
カーテンを開けると、青白い顔の女が目を閉じて眠っていた。腕には針が刺してあり、点滴に繋げてあった。