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6話
「3日っすよ…丸々、1週間経過ですよ」
珍しくも遅い時間にやってきた西原が、コーヒーは飽きたからとインスタントのココアと紅茶のティーパック、菓子類の差し入れを置くと、つまらなさそうに呟いた。そして、紅茶を入れると自ら買ってきたチョコレート菓子の風を開けて、つまんでいた。
こうも向こうが大人しいと、流石に冬四郎と京井も焦りと不安が募っていくばかりだった。冬四郎も落ち着きない。1週間も緊張が続き疲れた顔に、長さのある無精髭のせいで、苦味のきいた顔になりつつあった。西原は、そんな冬四郎の横顔を見ながら、少し羨ましげだった。
「京井さん、怪我はもう大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫ですよ。とは言っても、こっちはまだ塞がりきらないようですが」
京井は胸に近い辺りに手を沿えた。西原は、何があったのか知らないが京井の大怪我は知っていた。こっちは、と京井が言ったのは腕の方はもう大丈夫だという事なのだろう。