5話
「何がしたいんでしょうね…」
「それが分かれば苦労しないぞ?」
冬四郎が苦笑い混じりに言うと、京井も苦笑い浮かべながら頷いた。
「あ、そうじゃなくてですね…最初に偽者が出た時も顔を見たんですよね?で、次は死体のむつ。で、今回は同時に2人…死んだ事にしてるくせに、わざわざ偽者出さなくても良いと思うんですよ。それに、本当に顔を見せたくなくての覆面なら、あんなほどけるようなやつにしなくても…って思うんですよ」
「それはな、俺も思う。死んだと思わせたくせに、2人も出してくる…本当は生きてるって思わせたいのか?」
「かもしれないですね。けど、何の為に?それにわざと、顔が見えるような覆面にしてるのかもしれないですね。さっき警視正が、何で殺したって聞いた時に、相手は用に無くなったからって答えたんです。って事は、死んでるって思わせておきたいんですよね?…何かおかしくないですか?」
西原の話を聞き冬四郎は腕を組み、黙ったまま頷いただけだった。
「まだ日本刀が手元にないから、撹乱させる為って事でしょうか?」
「可能性はありますね」
「あ、無事なんですか?」
「あぁ…ダミーが1本減った」