5話
朝食のトースト、サラダをぺろっと完食したむつは、する事もなくソファーでタバコを吸っていた。片付けを終えた狐もソファーに上ると、丸まってゆっくりと休んでいた。
外に出れるわけでもなく、むつは狐を撫でながらただ時間が過ぎていくのを感じていた。だが、ふいにドアを叩くような音が聞こえた。ぴくっと起き上がった狐は、急いで部屋から出て行った。そして、夜中に突然やってきた男と共に部屋に戻ってきた。
「お前、日本刀を探すのには手を貸しても良いと言ったな?」
「…言った」
「なら、一緒に来い」
「良いの?」
「あぁ…だが、そのままでは出せない。お前の力は強力だからな…外に出る前に、一緒に来て貰う。良いか?」
外に出る前に、どこかに連れていかれると分かったむつは思案顔になった。今のように力を制限される事はなくとも、何をさせるのかむつはそれを考えた。たが、何をされるのかは大体、想像がついていた。歯向かわないように、何かしらをするのだろうと。それは、意思を手放すという事だ。
「この手枷を弱い物に変えるだけじゃダメ?札が扱えるか…動きに制限がかからなくなる程度の…完全に言いなりになるのは無理だもん。だって、あたしの考えが必要になると思うし」
むつが何をされるのか想像をつけて言っている事が、男にも分かったのだろう。男は立ち上がった。
「他にも何か上に伝える事は?」
「メンバーはあなたとあたしと狐で。あ、その子じゃなくてあんたと組んでる風な狐ね」
「…伝えてこよう。待っていろ」