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5話
どうにも仕様がなく、2人が悩んでいると、とんとんっとノックの音が聞こえた。咄嗟に立ち上がった颯介は、すっと指を引いてしまった。
「いったぁ」
「大丈夫ですか?」
がちゃっとドアが開き、入ってきたのは山上と棒状の物を抱えた片車輪に京井、冬四郎だった。
「…?どうした?」
「ナイフを調べようと思ってて、湯野さん指切っちゃったみたいです」
指先に痛みを感じた颯介は、手で握るようにして押さえていた。入ってきた山上が、すぐに見せてみろと言い颯介の手を持ったが、指先を見て首を傾げた。
「傷…ないぞ?」
颯介は血の一滴も流れていない指先を、不思議そうに見ていた。
「結構、すぱっといった感じがしたんですけど…」
「気のせいだったんじゃねぇか?」