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5話
山上が片車輪と共に戻ってくると、冬四郎は申し訳なさそうな顔をしつつも、事務所に戻りましょうと言った。
「俺は本当にパシられただけか」
少し残念そうに言う山上の肩を、片車輪がぽんぽんと叩いて慰めていた。昨夜は2人だけで事務所に泊まったからなのか、なんとなく2人は仲良くなっている様子だった。京井はそんな2人を珍しい物でも見るように、しげしげと眺めていた。
「で、これ持って行くんか?」
「ん、あ、あぁ…悪いな」
片車輪はベッドの上にある、6本の刀を抱えるように持った。
「何か、お前ってあれだよな。後輩気質?」
「はぁ?なんやねんそれ」
「いや、気がきくよなって事だよ」
冬四郎はまとめておいた着替えを持ち、山上から車の鍵を受け取ると部屋をさっと見回して3人が出ると鍵をかけた。