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5話
京井は目を大きく開けて驚いていた。
「確かに、むぅちゃんのお母様にはよくして頂きましたよ…名前を頂きましたし。そのご恩もあってっていうのも最初はありましたが、今はただ単純にむぅちゃんと過ごすのが楽しいからですよ。お兄さんのお許しも頂けましたし…これからも、むぅちゃんとは変わらずにお付き合いをさせて頂きます」
そう言うと、京井はまた深々と頭を下げた。冬四郎もほっとしたような顔つきになり、また頭を下げた。そして、顔を上げながら2人は、くすくすと笑っていた。
「何のご挨拶なんでしょうね…」
「本当ですね。けど、良かった…京井さんから話を聞けて。分かった事がありますし」
冬四郎は真面目な顔つきになった。つられるようにして、京井も表情を引き締めると頷いた。
「先ず、むぅちゃんと同じ様な…妖を殺めるような能力のある人間が存在している事ですね」
「えぇ。それに、妖を襲っているのもむつを拐ったのはやはり同じ者たちの仕業という事。そして、その仲間である仮面の男もやはり…」
「むぅちゃん同様の力を持ち合わせていると考えて、間違いないと思います」