5話
「それで…これらは?模造刀ですか?」
「えぇ。一応、マンションも見張られてるでしょうからカモフラージュ用に5本似た物を揃えておきました」
京井も流石に、5本も模造刀があるのを見て驚いたような顔をしている。すっと目を細めて、じっと見ていたがふぅと息をついた。
「…意外と分からない物ですね」
「せやな…ねぇちゃんが持つと変に妖気つーか、嫌な感じ放つのに今は大人しいもんやな。持つ人間によるんやろか?」
片車輪もそう言っている。だが、以前に片腕を切り落とされてるからか、近寄ろうとはしない。
「これで、こっちも少しゆとりが出来るな。だが、肝心のむつの居場所とやつらにどう接触したらいいのかが…」
山上もそれはやはり分からないのか、困ったような顔をしていた。
「向こうからの接触があると思いますよ…襲撃するような奴らですから、無理矢理にでも奪いに来る可能性が」
「そうなると、お前が危ないぞ?」
「えぇ。その前に、あの男が接触してくれば…何とかなる可能性もあるんじゃないでしょうか?都合よく、むつと交換とはいかない気がしてますが」
「そうだな」
山上はそう言ったきりで、黙ってしまった。日本刀は奴らより先に見付け出せたものの、ここから先はやはりどうしたら良いのか分からなかった。