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5話
1DKの冬四郎の部屋にガタいの良い男が4人も居ると、圧迫感もあるし本当にむさ苦しい。冬四郎がキッチンで人数分のコーヒーをいれていると、京井がやってきて紙袋を渡してきた。
「やつれてますよ。食事はきちんと取って頂かないと…むぅちゃんが心配しますよ」
「すみません…頂きます」
冬四郎が受け取った紙袋はまだ、ほんのりと温かい。作りたてだというのが分かるだけに、冬四郎は嬉しかった。
京井に手伝ってもらいコーヒーをいれ、部屋に向かうとベッドの端に座っている山上は、早速気付いたのか布を外して中身を確かめていた。
「見付けてきたのか」
「えぇ、西原君に手伝ってもらって見つけ出しましたよ」
「部屋、どうだった?」
むつの部屋が荒らされていたと報告を受けて、向かったもののどんな状況だったのかは、山上にも一切話していなかった。
「酷い有り様でしたよ。足の踏み場もなく…片付けても住む気になれないかもしれませんね」
「…また、引っ越しか」
コーヒーを受け取った山上は、ふぅふぅとしながらずっと一口すすった。