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5話
部屋に残った冬四郎は、タバコを吸いながら何か考えているようだった。そして西原に言った通りに電話をした。だが、かけた先は京井ではなく山上だった。
「おはようございます。朝早くからすみません…実はお話がありまして、来て来て頂く事は出来ますか?」
『俺1人でか?』
「いえ、京井さんと片車輪と一緒にです」
『…分かった。場所は?』
「俺の部屋です。場所分かりますか?」
『あぁ、分かる。ちょっと待ってろ、片車輪はいるけど京井さんは1回帰ってるからな。少し時間かかるかもしれないぞ?』
「構いませんよ。一緒に来てください。そんなに焦る事でもありませんから」
『そうか?なら…ちょっと待っててくれ』
「分かりました。すみませんが、お願いします」
通話を終えた冬四郎は、窓を閉めようと立ち上がった。冬の雨は、かなり冷える。窓を閉めて、暖房をつけてから山上たちを待つ間に、コーヒーを入れ直そうと思っていたのだ。