222/542
5話
「待つしかないっていうのも…」
辛いですよね、と西原は言ったが冬四郎は向こうから必ず接触があると踏んでいた。倉庫に向かった時も、一足違いで逃げられている。と、なるとこちらの動きは完全に筒抜けになっていると見ても良い。
「西原君は明日は署に出てくれるか?マンション一帯の防犯カメラを改めて欲しい…俺たちの動きは必ず見張られてるはずだ」
「分かりました。他には?」
「とりあえず、それを優先で。あとは考える…」
そう言うと、冬四郎は棒状の物を少し横にずらしてベッドに潜り込んだ。そして、ばさっと布団を被った。
「電気、つけたままにしとけ」
「…?はい」
電気が消そうと立ち上がりかけた西原だったが、冬四郎にそう言われると西原もそのまま布団を被って目を閉じた。明るくても西原はすぐに眠りについた。冬四郎はなかなか寝付けず、すでに寝息を立てている西原をじっと見ていた。




