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よろず屋-狩るモノ-  作者: 幹藤 あさ
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5話

目を閉じたむつは、今日までの事を考えていた。帰宅と共に室内に潜んでいた何者かに、薬か何かを嗅がされ気を失った。目が覚めると、覆面をした男に、日本刀を渡すように言われた。ぼんやりとしていて、思考がまとまらなかったものの、むつは答えなかったようで風呂場に連れていかれると、湯船に溜めた水に顔をつけされされ、何度も同じ事を聞かれた。殴られ、水に顔を沈められ呼吸もままならなく、意識も朦朧としていた。そして次に気付いた時には、手枷をつけられ潮の香りのする倉庫で、鎖で繋がれていた。


手枷があろうと、簡単に逃げられると思っていたむつだったが、この手枷のせいなのか力が出せなかった。よろず屋で働くだけあり、むつには特殊な能力が備わっている。だが、今に限ってはその力が発揮出来ていなかった。


執拗に日本刀のありかを聞いてくる者たちと、襲われる直前に連絡を取っていた妖の片車輪から聞いていた、妖が襲われる事件。同じ者による犯行だという事は、むつにも分かっていた。何故なら、むつの持つ日本刀は妖だけを斬り伏せる事が出来るからだった。それを狙うのは、妖に狙いをつけて襲っている者に違いないと確信している。だが、それは口にはせずにじっと耐えていたる。


すきま風があり、ぶるぶると寒さで身体は震えるが、疲れがあるのかむつはうとうとし始めていた。いつまでこんな事が続くのか、逃げ出すチャンスは訪れるのか。不安でしかなかったが、ここに移される前に追っ手が迫っていると言う話を聞き、同じく捕らえられていた狢に頭に差していた簪を引き抜いて貰い、その場に置いてきた。もし、むつが直感的に思った追っ手がそれならば、きっと簪を見付けているはずだった。そして、またしつこくも追ってくるはずだと、今はそう思う事が支えだった。


「みんな、遅いなぁ…あたし、ずっとここじゃ風邪ひいちゃうよ。か弱いもん」


ぼそっと呟くと、ふぅと息をついて身動ぎをし、あっという間に眠りについた。

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