表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋-狩るモノ-  作者: 幹藤 あさ
213/542

5話

「お水」


女が言うと、狐は柵の間からペットボトルの水を投げ入れると、横たわった女の顔の前に落ちた。女は両手をついて、ゆっくりと上体を起こした。両手でペットボトルを掴むと、ぎゅっと力をこめて蓋を外すとごくごくと喉を鳴らして飲んだ。


「はぁ…いつまで続くの?」


「それはお前次第だろうに。何故、喋らない?すでに、身体は限界にきているだろ?」


女は口からペットボトルを離すと、唇についた水滴を指で拭って、それもぺろっと舐めた。


「そうね。あちこち痛いし…寒い」


「あれはどこにある?それさえ言えば、ここから出られるんだ。そろそろ教えてくれても良いだろ?」


狐の気遣わしげな優しい声に、女はさらさらと髪の毛を鳴らしながら、首を横に振った。


「言えない」


「そこまで、執着する理由は?」


「そう、ねぇ…何だろ?」


「我々と共に行動する気にもならないか?」


「ならない、かな」


薄暗い中で、女はくっくっくと肩を揺らして笑っていた。手枷以外には何も身につけていない女の、大きな胸が揺れていた。


「お前…それで良いのか?」


「良いよ」


はっきりとした声で即答した女は、入れられている場所の隅に置いてある毛布を掴むと、身体に巻き付けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ