4話
「西原君は…今回の事って、どのくらい把握してるんだ?さっき、蚊帳の外って嘆いてたけど」
「むつが誘拐されたってくらいですよ」
「…他は?」
「他ですか?遺体が作り物だったのと、襲撃されてんですよね?あ、あとは片車輪が襲われたって事ですかね」
冬四郎はうーんと唸った。もしかして、普段から刑事として後から事件に合流してもあまり情報を耳に入れないままに、動いてるのかと少し心配になっていた。
「そうか…まぁそれだけ分かっていれば大丈夫だな。それでだな、その片車輪を襲撃したのとよろず屋に襲撃来たのと、むつを拐ったのは同じやつらなんだ」
「そうなると…そこそこの人数のいる組織って事ですよね。テロリストみたいな物ですよね、妖怪に的をしぼった」
「そうだな」
「むつも厄介なのに目をつけられたもんですね。それより、探すの再開しませんか?何事も慎重に早期に…もう10日ですか?むつが連れ去られて」
そう言いながら、西原はそっと内ポケット辺りを手で触った。そこには、冬四郎が倉庫で見付けた簪が入っている。以前にむつに渡した物だ。それをお守りとむつが言っていたと狢からは、聞いていた。大事なお守りだから、また手元に戻ってくると言うなら、また渡してやりたかった。