1話
山上に連れられて、事務所に戻ってきた冬四郎と片車輪はとりあえず、空いている椅子に座らされた。そして、山上はのんびりとコーヒーをいれて戻ってきた。
「みや、むつのパソコン探ってみろ。あいつ、仕事の連絡は基本パソコンにさせていたはずだからな。携帯と連動させて、夜のメールは携帯から返信していたみたいだが…な、片車輪お前の携帯寄越せ」
手を差し出されると、片車輪は何が何だか分からないままに、山上に携帯を渡した。そして、冬四郎と一緒にメールを見ていた。片車輪がむつに送ったアドレスの確認をしているようだ。
「あ、本当ですね。パソコンのアドレスですね…あいつ、使い分けてたんですね」
「あぁ。だから、最近はプライベート用と仕事用で携帯別けようかなーなんて言ってたんだよ」
「成る程…ってなると、仕事絡みなら警察に携帯持っていかれてもこっちでも調べられますね」
冬四郎はコーヒーをすすった。そして、片車輪に携帯を返すとむつが使っている机に向かった。机の上は綺麗に片付けられている。だが、ごちゃごちゃと何か分からない置物が机の端にずらっと並んでもいる。統一性のなさに、冬四郎は少し笑ってしまった。眼鏡置きのような上には、何故か鼻眼鏡が置いてある。
「どうした?」
「いや…片付いてるようで、よくよく見ると変な物ばっかりが置いてあるなと思って」
くすっと冬四郎は笑うと、パソコンの電源を入れた。




