4話
「はぁ…そうですか?まぁ、はい。それで?」
「男の仲間たちは、日本刀を欲しがっているそうなんだ。それを先に見付けて、むつと交換…ってのがよろず屋の方での考えだな」
「…その男が仲介役ですか?それなら、身代金みたいに何かしら向こうから言ってきても良いと思いますけど」
「そう思うだろ?けど、何もない。そいつらが何者か分からないしな…それに、何か隠されてる気がするな」
「その男にですか?」
「それもだけど…山上さんたちにも何か隠されてる気がするな。よろず屋の倉庫で、むつの日本刀を探してる時に男と何か話してたみたいで、何か様子が…」
「誰も信用出来なくなる状況じゃないですか」
「本当にな…」
はぁと冬四郎は溜め息をついた。
「たぶん、向こうは向こうで動くだろうな、京井さんと片車輪がついてるしな」
「京井さんがついてると動くんですか?」
「あぁ、京井さんもあや…」
冬四郎は言いかけて口をつぐんだ。そして、まじまじと西原の顔を見た。
「もしかして、知らないのか?」
「何をですか?京井さんは何なんですか?むつのお母さんの知り合いって…にしては、若いですよね?意外と歳いってるんですか?でも精々、宮前さんと同い年くらいにしか…」
冬四郎は西原がさっき蚊帳の外だと言っていたのを思い出し、本当にそうなんだなと思い、京井が犬神という妖だと言うか否かを少し悩んだ。
「ま、京井さんの事は自分で聞いてくれ。俺が言っていいのか、分からないな」
困ったように、そう言うのが冬四郎には精一杯だった。