4話
西原は、むつがドリルやバールを使って天井に穴を開けている所を想像して、ぶはっと吹き出すように笑った。
「やりそうな気もしますね」
くっくっくと、肩を揺らして笑っている西原を見て、冬四郎は何をしでかすか分からないむつなら、と思ったりもししていた。
「冗談はさておき…どうです?むつ小さい頃とか、何かを隠してたりしてませんでしたか?」
「そうだなぁ…そんな記憶は、あ…隠しても布団の間とかだったな。通知表とか」
「やっぱりベッドの下じゃないですか?」
「まぁ身近な所には置いてるだろうな」
そう言うと、2人は寝室に戻った。西原が椅子を片付けに行っている間に、冬四郎は布団をどけた。もう寒いからか、マットレスの上には毛足の長い毛布が敷かれている。冬四郎はその毛布も外し、マットレスを持ち上げると壁に立て掛けた。
「ありそうですか?」
「どうかな?」
マットレスの下には簀のように板が渡してあるが、床は見えない。冬四郎はしゃがんでベッドの横を見た。先程、腕を入れた時には気付かなかったが指を引っ掻けて引っ張ると簡単に開いた。浅いが引き出しになっていたようだ。
中にはシーツや敷布が入っていた。部屋を荒らしに来た者も、この引き出しには気付かなかったのだろう。荒らされた形跡はなく綺麗なままだった。冬四郎はシーツと敷布を出して、さらに手を入れてみたが何もない。