4話
「寝室じゃないとしたら、隣の部屋でしょうか?」
「かもしれないな。隣の部屋って何があるんだ?俺、入った事がない気がするな…いつも閉まってたと思うし」
片付けもせずに、2人はすぐ隣の部屋の前に行った。こちらは、ドアが閉まっている。
「何もなかったと思います。強いて言うなら、誰か来た時に泊まる用ですかね?」
西原がドアを開けて先に入っていった。室内はカーテンが閉まっていて、薄暗い。壁にある電気のスイッチを押し、照らされた室内は西原の言う通り何も物が置いてない部屋だった。
ここは物置兼来客が泊まる用の部屋なのか、寝室同様に備え付けのクローゼットがあり、そこからは布団が出されていた。物がないからか、布団が出されて破かれ綿が出ているだけでさほど酷く荒らされている雰囲気はない。
「布団しかないのか」
「みたいですね。意外と物少ないですよね?女の子ならもっと色々ありそうなイメージなんですが」
「そうだな…それなら、こんなに広いマンションじゃなくても良い気もするな」
「それはまぁ…贅沢したいってやつですよ」
冬四郎も西原も広くても1DKの部屋で、生活をしている為か2LDKもあるむつの部屋の無駄な広さに、理解が出来ない様子だった。