4話
冬四郎も椅子から降りると、それもそうだなと頷いた。
「…ま、作ってたと仮定して。むつの身長と作業のしやすさを考えると、あまり高くない所だと思います」
「高くなくて、出し入れがしやすい所だな。物をどかしてなんて、面倒くさがりがする事じゃないな」
「そうですね。洗濯物たたむのも嫌いで、干して乾いたのそのまんま着るタイプですから」
「…そうだったのか」
はぁと冬四郎は溜め息をついた。せめて、たたんでしまえよと思ったが自分も同じ事をしているだけに言えなかった。
「1人暮らしで、仕事も…ましてや帰ってこれない日もあるような仕事してたら家事で手を抜くのは皆同じですよね」
俺も干してそのまんま着ますと西原が笑いながら言うと、冬四郎もつられたように笑った。
「西原君は、やっぱりむつの事をよく知ってるな」
「そうですか?宮前さんの方がよく分かってるんじゃないですか?家族なんですし…分かりすぎてて、それが当たり前になってると、気付きにくい事って多いかもしれませんね」
少し寂しげな冬四郎の声が気にはなった西原だったが、あまり余計な事は聞くまいと気付いてないふりをして、部屋を見回した。