4話
そんな隠し扉のような物を探してどうするのかと、西原は聞きもしなかった。冬四郎はそれを少し意外に思ったのか、目を見開いた。ほんの一瞬、そうなっただけなのに、西原は見逃さなかったのかくっと笑った。
「それがあったとしたら…どういう事か説明してくれますよね?宮前さんが探してるの、日本刀ですよね?」
「…何で分かったんだ?」
冬四郎は手帳を内ポケットにいれ、西原を睨むように見た。晃が偽者だったように、西原も偽者なのかもしれないと疑っていた。
「むつの部屋にある特別な物、ですぐに日本刀を言ったじゃないですか。あいつ、仕事に使う物あんまり部屋に置きたくないって言ってましたから…俺は事務所にあるものだと思ってましたよ。でも、宮前さんは部屋にある前提っぽい言い方でしたから」
「………」
「ざっと見た感じではないですよね。日本刀と誘拐が繋がるみたいですけど…それは見付けてから聞きますよ」
探しましょうかと西原は言うと、クローゼットの中ならカラーボックスを出して床に置くと中に入った。冬四郎がその様子を、じっと見ていると西原が顔を出した。
「早く手伝ってくださいよ」
冬四郎の頷くと、クローゼットに入っていった。もし、西原が偽者であったなら、ここで日本刀を見付けても渡してはならないと冬四郎は思った。そして、付き合いの長い西原をそうやって疑っている自分に嫌悪感を抱いていた。