20/542
1話
冬四郎と付き合いの長い山上だからこそ、冬四郎が何を言っているのか分かった。妹が行方不明になったからといって、現職の刑事が仕事に出ないというのは、情けないような気がしているのだ。だが、そうも言っていられる状況でもないのは、冬四郎自身がよく分かっていた。
「…みやうちに泊まるか?それとも3人仲良く事務所で過ごすか?お前の事だから、仕事もしてむつの捜索もするだろ?ちょっと落ち着け」
ハンドルを切りながら、冬四郎は不服そうに山上を見た。そして、小さく舌打ちをした。
「ほれ、当たった‼俺ら送ってからマンション戻って何か手がかり探すつもりだっただろ?今日はもうダメだ。休む時は休まないとな。今のうちに連絡先知ってるやつには連絡して…あ、そうだ。事務所戻ってくれ」
何か思い付いたのか山上が言うと、冬四郎は対向車も後続車もないのをいい事に、きゅっとハンドルを切って道路の真ん中で堂々と、Uターンした。タイヤがきゅるっと鳴り、後部座席の片車輪がうわっと言っていた。山上も流石に驚いたのか、ぎゅっとシートベルトを掴んでいた。それを横目に見て、冬四郎がふふんっも鼻で笑った。
「お前…根性悪っ」
「そうですか?運転上手いから大丈夫です」
そう言うと、ぐんっとアクセルを踏んだ。




