4話
呆れたように笑った冬四郎だったが、ベッドから降りると膝をついて腕を伸ばしてベッドの下を触ってみた。冷たい床の感触があるだけで、他には何もない。
「一応、確認するんですね」
「まぁな。西原君とむつは考えが似てそうだから…」
胸を床につけるようにして触りながら冬四郎はふっと、真面目な顔つきになった。腕を引き抜き、その手をまじまじと見た。ベッドの下まで掃除がされてあるのか、腕についた埃は少ない。
「どうしました?」
立ち上がった冬四郎は、じっと西原を見た。その険しくも相手を値踏みするかのような目に、西原は少したじろいたが何も疚しい事はなく、正面から冬四郎を見ていた。
「誰にも話さないか?」
「むつの事、ですか?」
「あぁ…」
冬四郎が言いにくそうにしていると、西原は逆に冬四郎を見返すようにして、目を細めた。むつの事に関して、かなり言いにくい事があると西原は分かると、微かに顎を引くようにして頷いた。
「あまり話したくはない…けど、西原君にここから出ていってくれって言ったら、何故か聞くよな?」
「聞きますね。1人になりたいって気持ちは分かります。ですが1人になって何をするでもないなら、一緒に出ていけばいいと思います。捜査中なので、身内で刑事と言えどこの場に宮前さんだけにする事は出来ませんし」
西原がもっともな事をきっぱりと言うと、冬四郎は頷いた。
「なら、話す」