4話
「…にしても、こんだけ荒らされてると何が無いのかも分からないな。俺も、ここに何があったのか全然分からないからな。俺より、西原君の方が分かるんじゃないか?」
「そうですね。うーん…」
冬四郎より、西原の方が分かるんじゃないかと言われても西原は否定をしなかった。それに、冬四郎は苦笑いを浮かべた。だが西原は気付く事なく部屋の中を見渡しながら、下着を拾って片付けている。
「…ん?」
西原は棚に目を向け、下に置いている箱に目を向けた。ネックレスやピアス、指輪なんかを入れてある箱だった。それは昔からむつが持っていたもので、西原もよく見ていた。その箱を拾いあげ、開けてみるとピアスもネックレスも所定の位置には収まってはいない。
「指輪、ないですね。あの、祐斗君と入れ替わった時の指輪。それに、こんだけ荒らされてるのに札とか1枚も見当たらない気がします」
札も人形もむつが仕事で使うにしても、部屋にも数枚予備で置いていたはずだった。それなのに、これだけあちこち開けられ物が引っ張り出されていても札も人形も1枚も見当たらない。
「そういえば…そうだな。あいつ、あと何か怪しい物って部屋に置いてたか?」
「いや、どうなんでしょ…俺もそこまでは。むつもそういうのは言わなかったですし」
西原はネックレスやピアスを所定の位置に収めて、ぱこんっと箱を閉じた。そして、そっと棚に戻した。
「…隠すなら、ベッドの下とかっすかね?」
「エロ本かよ」