4話
ダイニングキッチンからリビングを見ると、テレビは倒れているし棚のDVDも本も引っ張り出され床に散らばってい。冬四郎は、それらを拾い上げながら棚に戻して行った。ソファーの上のクッションも引き裂かれ、中の綿が泡のようにそこら辺に落ちている。
「寝室見ますか?1番酷いですよ」
西原が指差すと、冬四郎は頷き寝室に視線を向けた。西原の言った通り、寝室は足の踏み場もない。冬四郎が水族館で買ってやったぬいぐるみも、ベッドの上でずたずたにされていた。
冬四郎は物を踏まないように寝室に入ると、ベッドにすとんっと腰掛けた。ずたずたになったぬいぐるみを膝の上に置くと、冬四郎はそれを撫でていた。ベッドに腰掛け、室内を見渡すと本当にここが1番酷い。
開け放たれたクローゼットからは、カラーボックスの引き出しが開いており服が出ている。下着やストッキング、スーツも出されていた。冬四郎は来るときには、室内を見ながら片付けてやろうと思っていたが、これじゃ手をつける気にもなれない。だが、西原は下着だけは拾って腕にかけると、とりあえずカラーボックスに入れていた。
「お前…」
片付けるのは下着だけかよ、と呆れて言いそうになると、西原は苦笑いを浮かべた。
「むつの下着、まぁまぁセクシーなのありますからね。お兄さんには目の毒ってやつです」
そう言うと、真っ赤な下着を手に取ってカラーボックスの中に入れていた。