4話
むつの自宅マンションに到着した冬四郎は、車を地下の駐車場に止めた。マンションの前には、警察車両や警官たちが居る。冬四郎は車を降りると、エレベータに向かっていった。地下から部屋のある階まで行くと、廊下にも警官たちがおり物々しい雰囲気で捜査を行っているようだった。
エレベータから出てきた冬四郎を警官が見付けると、声をかけてきた。冬四郎は淡々と氏名と身分を名乗った。そして、西原から連絡を貰った事も告げた。すると、警官は哀れむような目を冬四郎に向けた。冬四郎はそんな物は気にもせず、西原が出てくるのを待っていた。
「宮前警部補。お待ちしてました…まだ鑑識が居るのでしばらくお待ち頂けますか?」
「やけに、ビジネスライクだな」
「一応は…仕事ですからね。警察が掴んだ事を流す為に居るわけですけど」
「やりたい放題し過ぎだ。けど、何か掴めた事はありそうか?」
冬四郎と西原は部屋から離れ、エレベータの前まで行くと、世間話でもするかのような雰囲気で、何となく警官たちがむつの部屋を出入りするのを見ていた。
「指紋は出ないでしょうね。中はもう酷いですよ…クローゼットから夏服も何もかも出されてました。ぬいぐるみも切り裂いて、綿を出してまでって感じで」
西原の報告を聞きながら、冬四郎はいぶかしげに西原を見た。西原も何か引っ掛かる事でもあったのか、冬四郎を見ていた。