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4話
「先手を打たれたみたいですね」
「えぇ…そのようですね」
「何だ?」
西原との会話が聞こえていたのは京井のみで、あとの面々は何があったのかと気になっている様子だった。
「むつの部屋が荒らされたみたいです。遺体発見が朝方ですから…警察が引き上げた後にやられたんでしょうね」
冬四郎はそう言うと、コートを羽織った。
「なら…俺たちは待機だな」
「そうですね…みんな、寝てませんし。少し身体を休めててください。見に行ったら戻ってきますから」
タバコを山上に投げ渡すと、車の鍵を持って冬四郎は出ていった。慌てた様子はなかったが、切り札がなくなったのではないかと焦りは感じているようだった。