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4話
男が出ていき、さてそろそろと立ち上がりかけた時、冬四郎の携帯が鳴った。相手は、捜査会議に行っているはずの西原だった。
「はい、宮前です」
『宮前さん、むつの部屋が荒らされたみたいです』
「何?」
『だから、むつの部屋が何者かによって荒らされたみたいなんです。俺もさっき、会議に出て知ったんですが。とりあえず、身内の人に何か盗られた物がないかを見て貰いたいんですが…来て貰えますよね?警視正もまだ居ますか?』
西原は晃が偽者だった事を知らないだけに、2人で来て貰いたいと言っている。
「いや…俺が行く。あの人はダメだ…また取り乱す事になりそうだ」
『そうですか?…分かりました。今から現場に向かうので、よろしくお願いします』
「分かった」
通話を終えた冬四郎は、携帯をしまって溜め息をついた。京井には通話内容が聞こえていたのか、険しい表情をしていた。