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4話
「…その姿で、一緒に行動するのか?」
それぞれが上着やらを手に出る準備をしていると、冬四郎がタバコを吸いながらいぶかしげに男を見た。仮面に全身黒の服に身を包んでいる男は、どう見ても怪しい。夜ならまだしも、まだ明るいうちから一緒に行動する気には、どえしてもなれない。
「そうですよね…変装得意なら他のないんですか?それに、名前がないと呼びにくいですね」
祐斗もそれを思ったのか男に言うと、男は腕を組んだまましばらく黙った。
「…俺とは別行動をすればいいだろ?何も一緒に動く必要ない。お前たちは、日本刀を探しに行け」
命令口調で言われ、むっとしたのか冬四郎はあからさまに舌打ちを鳴らした。だが、男は気を悪くした雰囲気もない。
「お前は?」
「むつの様子を探る」
「居場所分かってるのか?」
「いや、特定は出来てない…それに、お前の兄の車を返して来ないといけないしな…お前の兄、本当に引きこもってるぞ。妹の無事くらい伝えてやったらどうだ?」
ふんっと男は鼻で笑うように言い、普通にドアから出ていった。冬四郎はその後ろ姿を見ながら、ちっと舌打ちを鳴らした。