4話
「決めかねてるな?それなら、俺はこのまま消える…むつの事に関しては俺1人でも十分だ」
男がふらっとドアから出ていこうとすると、祐斗がドアの前に立って邪魔をした。その意外な行動に、颯介と山上が驚いていた。
「それは嘘だ。1人で十分なら、変装までしてここに居ないと思います…1人じゃ無理だからこうして来てるんですよね?むつさんは、どこですか?何で拐われたんですか?分かってる事は、全部話して下さいよ‼俺たちだって焦ってるんですから‼」
珍しく語尾を強めて祐斗は言うと、山上たちの方を見た。そして、溜め息をついた。
「この人、怪しいかもしれませんけど…むつさんが戻ってくるなら、それで良くないですか?むつさんなら、怪しいって分かってても、結果に繋がるなら付いて行きますよ。だから、俺はこの人に協力して貰いたいです」
男は仮面の下から、じっと祐斗を見ていた。目の部分にわずかな切れ込みがあるだけで、表情は分かりにくい。
「どこ行くんですか?俺も行きます‼」
祐斗は上着を持つと、一緒に出ていこうとすると、男がふっと笑ってその肩を掴んで引き止めた。
「何ですか?行くんですよね?むつさんの所に」
「お前…話せって言ってみたり、先に行こうとしたり、忙しいな。少し落ち着け。むつは、まだ殺されない…いや、殺しはしないかもしれないな」